死ぬほど読書 丹羽宇一郎
最近ベストセラーになっていて、気になっていた本です。
少し読書を強要させるイメージがあったので、読んでいなかったのですが、たまたま大学の図書館で見かけたのでこれを機に読んでみました。
丹羽さんは伊藤忠の元社長・会長で現在は名誉理事。
2010年からは民間では初の駐中国大使になっています。
本当の意味で自分の頭で考える事が大事。
狭い世界の中だけで生きていくだけでは、「何でもあり」の世界を前に進むには不十分で、自分の軸となる羅針盤や地図が必要です。そのためには本当の「知」を鍛えるしかありません。
・「自分が何も知らない」と自覚する
「無知の知」を知る。本を読めば知識が増えて、この世界のことが幾分か知ったような気になるが、同時にまだまだ知らないことがたくさんあると、それとなく気づかせてくれる。
何も知らないという自覚は、人を謙虚にさせる。その思いが人を際限なく成長させる。
・読みながら考えないと身につかない
情報は「考える」作業を経ないと知識にならない。人類が悠久の時間をかけて積み重ねてきた膨大な知識は、この世界についてのごく一部に過ぎないという事実。我々が生きている世界は、ほとんど「知らないこと」からできている。そのことを考慮すれば、「知っている」という驕りは生まれようがない。「何も知らない」ことを知る。人が成長する上で、これほど大事なことはない。
・本は働く意識を大きく変える
近江の出であった伊藤忠兵衛の心の中には、近江商人伝統の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の倫理的精神が厚く息づいている。
・欲望をどこまでコントロールできるか
心の栄養になるのが読書です。心に栄養が足りないと、人の中にある「動物の血」が騒ぎ出す。妬み・憎しみ・怒り・利己心・暴力的衝動を生み出す。
動物の血をコントロールする理性の血を濃くするには、心を鍛えるしかない。
・不足している感情を本で補う
感情はいろいろな形で発散させた方がいい。理性ばかりを働かせていたら、バランスが崩れるので、感情も動かす必要がある。人の感情は一方向に偏ることがあるので、仕事などで緊張状態が続いていれば、泣いたり、笑ったり、感動したり、リラックスしたり、いい意味で感情を動かすことが大切で、それには本を読むことがうってつけである。
・生きている限り、人にはやるべき仕事がある
仕事と読書と人間関係と、そこからくる人への理解が大事。
たとえお金があっても、何もしないでブラブラしている人は不幸です。社会にはいろいろな人がいて、どうにも救われないような弱者がいるといったことなどには思いも馳せたりすることもないのでしょう。ノブレス・オブリージュの精神をもって社会や人のためになる貢献活動をすることが大事。
・運が来る人の理由
セレンディピティ(素晴らしい偶然に出会ったり、予想外のものを発見する)は本をよく読んでいると起こりやすくなる。
本を読むことで、色々な人(著者)に出会う。これにより、自分の中に引き出しが沢山できて、問題意識が生まれます。つまり、思考の棚にフックができます。このフックがあれば、他人と同じものを見ていても引っかかって、そこから新しい展開や可能性が開けてくる。
・怒りとの付き合い方
ストレスの多い社会ゆえに、「アンガーマネージメント」が流行っている。しかし、怒りはへんに抑えつけたり、コントロールしない方がいい。ある程度上手に発散させる方が精神衛生上いい。明らかに相手に原因がある場合は、あれ程度怒ってもいい。
ビジネス界きっての読書家が贈る一冊です。
日本人は軸をしっかり持たず、空気を目ざとく読んで多数派につくという「沈黙の螺旋」を常に描いているように思います。
読書の意味を考えたことがある方も、まだそういうことを考えたことが無い方にもオススメできる本です。
したらねー!
タカリコ